被せ物後や甘い物を食べた後に痛むという症状はありませんか。被せ物や甘い物が歯にどのような影響を及ぼすかについてご紹介します。
被せ物した歯が痛い理由
神経のある歯を削った場合に起こるケースで治療の終了直後は、歯はダメージを受けています。時間が経っていないため、口腔内の神経が大変過敏な状態になっています。
熱い物や冷たい物などの温度変化が起きやすい食べ物は、治療の直後に食べると、温度差によって痛みが起こる場合があります。そのため、歯の治療後には熱い食べ物や冷たい食べ物は避けた方が良いでしょう。
特に被せ物の素材が金属の場合は、温度を伝えやすいため、温度差があまりない食事を心がけましょう。
一過性の痛みではなく、2~3日経っても持続して消えないという場合は、必ず歯科医院を予約し、相談してドクターに診断してもらうことが大切です。
甘い物がしみる理由
甘いものを食べると歯がしみるトラブルは何故起こるのでしょうか。甘い食べ物を食べた際に感じる痛みを甘味痛(かんみつう)と呼びます。甘味痛が起こる原因としては、主にむし歯や知覚過敏です。
虫歯が原因
虫歯菌が出す酸で歯のエナメル質が溶けてしまうと、歯の表面に小さな穴が開きます。これが虫歯です。穴が深くなってくると象牙質がお口の中の食べ物の刺激を直接受け、痛みやしみが起きやすい状態になります。虫歯が進行する前にクリニックでむし歯治療を受けましょう。
知覚過敏が原因
歯茎を歯ブラシで強く磨きすぎて歯茎がダメージを受けて退縮し、歯の根の象牙質がむき出しになったり、歯ぎしりや食いしばりによって歯面が擦り減ってエナメル質が薄くなると、象牙質に刺激が伝わり、歯がしみる症状が起こります。これが知覚過敏と呼ばれるものです。風が当たっても痛みを覚えるという方もおられます。
- 歯医者で知覚過敏用の塗り薬を象牙質が露出している部分に塗ってもらう
- 自宅では知覚過敏用の歯磨き粉を使用して歯を磨く
このような対処を行うと知覚過敏による歯のシミを減らすことができます。
被せ物治療に至るまで
歯科医院で被せものの治療をおすすめされた際、治療の流れなどを全て把握している患者様はおられません。被せ物(クラウン)は、虫歯菌により歯の外側が変色を起こしたり、痛みを生じた状態を改善するための治療法です。虫歯の状態はCO・C1・C2・C3・C4と段階別に呼びます。
COの虫歯
- 初期むし歯でエナメル質の白濁がある
- きちんと歯磨きができれば再石灰化の可能性があるため、経過観察するケースが多い
C1の虫歯
- エナメル質の表面に小さい穴が開いた状態である
- 削った部分に歯の色に似た歯科用プラスチック(コンポジットレジン・CR・歯科用樹脂)を詰め光を当てて固める
C2の虫歯
- エナメル質の内側にある象牙質にまで穴が達している
- 冷たい物や熱いものがしみる・口臭があるなどの自覚症状が出るが、大きな虫歯かどうかで詰め物・被せ物かが変わる
C3の虫歯
- 歯髄と呼ばれる神経まで達しているので、疼くような激しい痛みがある
- 歯の根まできれいに掃除をする根管治療を行う必要があり、その後薬剤を充填し、被せ物で蓋をする
C4の虫歯
- 歯根まで細菌が達し膿を排出し、噛み合わせる歯(歯冠)が抜けた状態
- 歯根のみが残っているが、歯周組織の状態が良くないため、他の歯へのリスクが高い
詰め物(インレー)を行う
- 保険適用ならば、透明な歯科用樹脂・銀合金
- 保険適用外の自費治療ならば、セラミックインレー
被せ物(クラウン)を行う
- 保険適用ならば、銀(奥歯にも対応可能)・CAD/CAM(位置によって保険適用可能)・硬質レジン前装冠(前歯のみ)
- 保険適用外の自費治療ならば、オールセラミック・ジルコニアセラミック・セレッククラウン・金
被せ物の治療の流れとは
では、C3の虫歯への被せ物の治療の流れについて順を追ってご説明します。
- 細菌感染した歯の内部をきれいに歯科医師が除去する
- 神経が死んでいると確認された場合、神経を抜く処置を行う
- 根管や歯根に潜むむし歯菌及び膿がないかチェックし、型どりと掃除を行う
- 仮の蓋をしてまた通院する
- 根管がきれいになれば薬剤を充填し、作製したクラウンを被せる
保険適用の被せ物と自費治療の被せ物を比べた場合、使える材質が違います。自費治療の被せ物は、より精密に作製することが可能で患者様ご自身の歯並びにピタリとはまる被せ物となります。二次虫歯を予防するという観点から見ると自費診療の被せ物が効果的です。
被せ物をした歯や甘い物を食べた歯が痛む理由に関するQ&A
甘い物がしみる理由は主にむし歯や知覚過敏が考えられます。むし歯菌によってエナメル質に小さな穴が開き、象牙質が刺激を受けることで短期的な痛みやしみが生じる場合があります。また、知覚過敏では歯肉のダメージや歯ぎしりにより象牙質が露出し、風などの刺激による痛みが起こることもあります。
被せ物(クラウン)をした歯が痛む主な理由は、治療の終了直後のダメージや口腔内の神経の過敏性が挙げられます。被せ物治療によって歯が削られているため、歯が過敏に反応し、熱い物や冷たい物などの刺激に敏感になることがあります。しかし、一過性の痛みであれば数日で消えることが一般的です。もし痛みが持続する場合は、歯科医院でドクターに相談し、適切な対処を行う必要があります。
まとめ
食べ物に含まれる糖を虫歯菌は餌として、酸を排出し、歯が溶ける状態になります。糖が多く含まれる食べ物を食べたら、必ず歯磨きを行い、歯面に付着する食べかすや汚れ、歯垢(プラーク)を除去しましょう。寝る前の歯磨きをデンタルフロスや歯間ブラシも用いて念入りに行うと、夜間唾液が少ない口腔内でむし歯の進行を防ぐことができます。