歯垢や歯石がたまると、お口の中は虫歯菌や歯周病菌などの細菌だらけになります。歯石を取らないとどんなことが起こるかについてご説明します。
歯石は取らないとダメですか?
歯石を取らずにそのまま放っておくと、どうなるのでしょうか?歯石が付いても痛みはありませんが、歯石は表面がデコボコで、汚れが付着しやすくなります。その汚れの中に細菌が繁殖しますので、歯石の内部には細菌がたくさんいることになります。
歯茎の下に出来る黒い歯石の場合は、歯茎と歯の間に隙間を作りますので、そこに更に細菌が入り込んで繁殖し、歯周病を発症します。
一方、定期的に歯のクリーニング(定期健診)歯石を取っている患者さんの場合は、新しくついた歯石は柔らかいために大抵1回ですべての歯石を取ることができます。
歯石を取らないとお口の中の細菌が減少しないため、歯周病の治療では歯石を取ることが欠かせません。歯石を取って歯面をツルツルに磨くと、細菌の数が減って汚れがつきにくくなります。
歯石とは何ですか?
歯石は歯についた歯垢(プラーク)が唾液の成分と反応して硬くなり、石のようになったものをいいます。歯垢は歯ブラシで落とせますが、歯石になってしまうともう歯ブラシの毛先でこすっただけでは落とせません。そのため、歯石が出来てしまうと、歯科医院で専用の器械や器具を使って砕いたり削り取ったりしなければなりません。これを歯石取りと呼んでいます。
歯垢が歯石になるまでの期間は、個人差がありますが、一般的には2~3ヶ月程度、早い方では2週間ほどで歯石になってしまいます。
当院では定期健診(クリーニング)の間隔は3ヶ月程度ですが、これは次に新しく歯石が出来る前に落とすという意味があります。
歯石取りは1回で完了するの?
3ヶ月に1回程度の定期健診に通って頂いている患者さんは、次回の定期健診で新しく出来た、または出来かけの歯石を除去します。
しかし初めて定期健診に来られて、歯医者通いは数年ぶりという患者さんの場合は、かなり歯石が付いていますので、1回で取り切ることが出来ず、複数回かかります。
白い歯石と黒い歯石
歯石には、歯が歯茎の上に出ている部分につく白い歯石と、歯茎に埋まっている部分につく黒い歯石があります。
白い歯石は目で見えますので比較的落としやすいのですが、黒い歯石は歯の根っこに沿ってついているため、大変取りづらいものです。
そのため、歯茎の下の黒い歯石が多い患者さんは、1回で全ての歯石を取り切るのは難しく、何度かに分けて取ることになり、通院回数も多くなります。
歯石取りで歯周病を防ぐ
歯石取りは、歯周病を予防して歯の寿命を延ばすためには必ず行うべきです。歯周病は重度になると歯茎の細胞を破壊して歯槽骨を溶かし、歯がグラグラになって抜けてしまうというものです。
しかし歯周病は歯や歯茎だけの病気ではなく、全身疾患と相互関係があることもわかってきました。特に歯茎からの出血により、歯周金などの様々な細菌が血管内に侵入して、血流と共に全身を巡ります。
それが心筋梗塞・動脈硬化・高血圧・脳卒中・糖尿病などの重大な病気を引き起こす原因となったり、症状を悪化させる要因になることが、近年の研究でわかってきました。
そのため、単にお口の中の症状を止めるためだけでなく、全身の病気の予防のためにも、定期的に歯の健康診断を受けていただき、歯のクリーニングで歯垢や歯石を徹底的に除去し、歯周病の予防につとめましょう。
歯石は取らないとダメに関するQ&A
歯石はデコボコの表面で汚れが付きやすくなり、その中に細菌が繁殖します。特に歯茎の下に付着する黒い歯石は、歯周病の原因となる細菌の繁殖を促す可能性があります。歯石取りは歯周病の予防と歯の健康を保つために行われます。
歯石は細菌の繁殖を促し、歯周病の原因となることがあります。歯石取りによって歯垢や歯石を除去し、口内の細菌数を減少させることで、歯周病の発症リスクを低減させます。
はい、最近の研究で歯周病と全身疾患との関連性が明らかになっています。歯周病による歯茎からの出血には様々な細菌が含まれており、これが全身に広がることで心血管疾患や糖尿病などの病気のリスクを増加させる可能性があります。歯石取りは、全身疾患の予防にも役立つ重要な処置です。
まとめ
歯垢や歯石を放置すると、お口の中に細菌が増えて虫歯や歯周病の原因となります。歯石は歯ブラシでは取れませんので、必ず歯科医院でクリーニング(定期健診)を受けるようにしましょう。
歯周病予防のためには歯垢や歯石を除去してお口の中から細菌を減らし、清潔な状態にすることが必要不可欠です。ぜひ歯石になる前に歯垢を落とすことから始めましょう。