歯が痛いときに、真っ先に疑うのは「虫歯」だと思いますが、実は歯に痛みが起こる原因は様々で、虫歯とは限りません。歯痛を引き起こす原因についてご説明します。
歯が痛くなる・しみる原因は?
たとえば、数日前まで平気だったのに、急に歯が痛みだす・しみるようになることは珍しくありません。
ただし、そのような場合は一過性であることが比較的多く、主に、過度なストレス、眠れない、生理痛、初期の酸蝕といった理由からくるものです。体力が回復すれば症状は消えるため、とくに深刻化する心配はありませんが、1週間以上続いていて治まる気配がないと感じる場合は、虫歯になっていたり、歯の根が炎症を起こしているなど、何らかの異常が生じて痛むことが考えられます。
歯髄炎による「痛い・しみる」
健康そうに見える歯でも、見えないところで細菌が歯周組織に入り込み、炎症を起こす場合もあります。歯髄はとても大切な歯の核なので、ひどく汚染されてしまうと歯を失うこともにもなりかねません。
また、歯髄に炎症が起きるということは、歯周ポケットが深く、歯周病である可能性が濃厚です。早めに歯科医院を受診して、原因を明すべきでしょう。
虫歯による「痛い・しみる」
歯髄の痛みと虫歯の進行具合とは、個人によってかなり差があります。
初期段階の虫歯には症状がないことが多いのですが、エナメル質(歯の表面)が薄くなり、その下の象牙質が少しでも露出すると、敏感な人はすぐに刺激を感じます。
とくに急性な虫歯は、子供や若年層に多く、痛みの症状が出やすいといわれています。
進行も早いため、歯の神経に達するスピードも早く、痛みはますます激しくなる恐れがあります。
急性の虫歯かどうかの判断は自分では難しいため、疑わしければすみやかに歯科医院で診てもらうとよいでしょう。
歯牙破折による「痛い・しみる」
外傷や硬い物を噛んだ拍子に、歯にヒビが入ったり、欠けたりした場合、歯が痛い・しみる感覚が生じます。
歯は自然に細かなヒビが入ることもあり、見た目にもわかりづらいため、気づかない人が多いのです。
象牙質が露出したことによる歯髄への刺激の響きに変わりありませんが、亀裂の部位や程度によっては、放置していると、さらに範囲が広がり、症状が悪化する恐れがあります。
軽度であれば、歯科医院で接着処置を行って改善することができます。
歯周病による「痛い・しみる」
歯ぐきから発症した病気による歯の痛み・しみる症状も存在します。
代表的なのは、歯周病です。
歯周ポケットが深くなり、歯ぐきが衰えたことにより、本来歯ぐきに覆われている歯根部分が露出して、外的刺激を受けやすくなります。
ただし、この場合は、歯が痛い・しみる以前に、歯ぐきの腫れ・出血などの症状が出ることが多く、早期治療を行っていれば予防できます。
智歯周囲炎による「痛い・しみる」
智歯周囲炎は、親知らず(智歯)が歯茎に炎症を起こして痛みが出ている状態です。まず、親知らずが歯肉を突き破って生えてくる際に、痛みが起こります。更に、親知らずが斜めに生えていたり、半分程度しか生えていない場合には、親知らずの歯根があごの神経を刺激して痛みが起こることがありますので、注意が必要です。
知覚過敏による「痛い・しみる」
知覚過敏は、一過性の症状がとくに多いです。
原因は、エナメル質が削れて薄くなったこと・歯ぐきの退縮により歯根が露出していることです。
虫歯や歯周病ではなくても、歯髄近くに刺激が発生すると、歯は痛みやしみを感じ取ってしまうのです。
歯の構造
歯は、とても硬い組織で構成されています。歯の表面のエナメル質は身体の中では何よりも硬いといわれています。虫歯など、お口の中で起きる多くのトラブルは、エナメル質が傷つき、中の象牙質という神経を内包している組織がむき出しになった状態で起こります。
象牙質は、エナメル質よりやわらかいので、外部からの刺激が神経に伝わりやすいです。歯にしみや痛みなどの違和感を感じ取った際は、象牙質または神経に刺激が流れている状態といえます。
歯が痛い時は痛み止めの薬を飲んでもいいの?
急に歯が痛くなった時は、必要に応じて市販の痛み止めを飲んで頂いても大丈夫ですが、痛みの原因が解消しない限りは痛みが続くかもしれません。そのため、お薬で一時的に痛みが止まっても、そのままにせずに、出来るだけ早めに歯科の受診をお勧めします。
もし虫歯が原因の場合は、時間が経つにつれて虫歯の穴が大きくなり、治療が大変になる可能性があります。その他の原因の際も、少しの処置で痛みが治まる場合がありますので、お近くの歯医者にご相談ください。
特にズキズキした痛みが続く場合は、虫歯が歯髄(神経)にまで達して痛みが起こっている場合があります。そのまま放置すると、いざ治療をする際に、抜歯が必要になる場合がありますので、なるべく早く治療を受けて頂けるようおすすめします。
歯が痛い原因に関するQ&A
急性の虫歯かどうかを自分で判断するのは難しいため、疑わしい場合はすみやかに歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
知覚過敏による歯の痛み・しみる症状は一過性のものが多く、エナメル質の削れや歯ぐきの退縮により歯根が露出することで起こります。
はい、外傷や硬い物を噛んだ際に歯にヒビや欠けが生じると、歯が痛い・しみる感覚が生じます。
まとめ
歯が痛くなる原因は様々です。歯科医師が目で見て分かる原因もあれば、レントゲンやCT撮影をしないと痛みの原因がわからないこともあるため、まずは歯科を受診して原因を探り、適切な処置を受けましょう。虫歯や歯周病は進行すると歯を失うことにつながりますので、早めの受診をおすすめします。