歯と口のトラブル

歯茎が痛い

歯茎が痛い

歯茎が痛い状態になると、食事や会話をする時など口を開ける際とても気になります。歯茎が痛いとはどのような原因で起きるのか、痛みによって考えられる病気が違うのか、対処法や予防法について詳しくご紹介いたします。

歯茎が痛いとなる理由と原因

食べ物が口腔内へ入るとお口の中に潜む細菌がそれを餌に増殖します。歯茎はよく使用する部分で外からのダメージを受けやすい位置にあり、炎症を起こしやすいです。

  • 食事のために咀嚼
  • 発音
  • 頬杖や頬を噛む癖

主な原因

歯茎が痛いとなる原因を挙げていきます。痛みの程度や痛む部分によって、考えられる原因が異なります。

歯周病(重度の場合は歯槽膿漏)

  • 歯茎が赤く腫れて、歯磨きをするたびに出血しやすくなる
  • どんどん進行すると歯茎や骨がダメージを受けてしまい、歯がぐらつく

口内炎

  • 白い潰瘍ができると食事の際に食べ物が当たったり、飲み物がしみる

親知らずの炎症(智歯周囲炎)

  • 親知らずが生えた後、奥歯の歯茎に痛みが出る

強すぎる歯磨きや歯ぎしり

  • 歯ブラシの当て方が間違っていたり、強い力だと歯茎が傷つき炎症を起こす
  • 就寝時の歯ぎしりは、歯や歯茎に強い力がかかり、それにより炎症となる

虫歯の進行

  • 神経に近い部分まで虫歯が進行していると、歯茎にも影響を及ぼす

歯茎の痛みの症状別に見よう

歯茎の痛みは一時的なものから深刻な病気のサインまで、さまざまな原因によって引き起こされます。腫れ・出血・ズキズキした痛みなど、症状にも少し差があります。

① 歯茎が赤く腫れている場合

考えられる病気:歯周病(歯槽膿漏)、智歯周囲炎

歯肉炎であれば歯肉のみに限定されますが、それを放置しておくと歯周病になります。歯周病は歯肉のみではなく、進行すると歯を支える骨が破壊され、歯茎が腫れてしまいます。親知らずがうまく生え切れなかったり、もう親知らずが生えているのに親知らずの周囲が歯周病のようになってしまうこともあります。

② 歯茎から出血する場合

考えられる病気:歯肉炎、歯周病

歯磨きの際に出血しやすくなります。歯垢が溜まると細菌が増殖しやすい環境であるため、炎症が悪化して膿が出ることもあります。

③ ズキズキとした痛みがある場合

考えられる病気:虫歯、根尖性歯周炎

虫歯が神経まで達していると、歯茎にも影響を及ぼすことがあります。神経が死んで歯の根の先まで感染すると、膿がたまり、強い痛みを感じます。

このように、痛みの症状によって原因が異なるため、放置せず早めの対応が大切です。

歯茎の痛みを和らげる応急処置&セルフケア

歯茎が痛いけれどすぐに歯科医院へ行けないという場合の応急処置をご紹介します。

すぐにできる応急処置

あくまで応急処置で個人差はありますが、下記の処置を実践してみてください。

① 冷やす

頬の外側から氷や冷たいタオルを当てると良いでしょう。外側から行うということが肝心です。直接、お口の中に氷を入れて冷やす行為は避けておきましょう。

② うがいをする

温かい塩水や市販のマウスウォッシュやうがい薬でお口をすすいでみるのが良いです。歯茎の炎症を抑えることができます。ただし、アルコール成分の少ないうがい薬にしておきましょう。アルコール成分が多い殺菌力が強いと謳っているうがい薬では、歯茎が更に刺激され、痛みが増してしまいます。

③ 鎮痛剤を服用する

市販されている痛みどめを服用して痛みを和らげましょう。鎮痛剤を飲めば、歯茎の痛みが軽減されるため、歯茎の新陳代謝に必要な栄養が入った食事も痛みが少ないまま行うことが可能です。

患部の歯茎を指で無理やり押して、膿を出すなどの行為は絶対に避けましょう。炎症が起きた原因に対処していない限り、膿はまた排出されます。清潔に洗浄していても押して出すという行為は危険です。歯の破折や、更なる細菌感染というリスクがあるからです。

セルフケアで痛みを軽減

応急処置ではなく、セルフケアで痛みを少し軽減しましょう。

① 歯磨きを優しく行う

歯茎を傷つけないように力加減に気を付けながら丁寧に行いましょう。優しい力で1本あたり色々な面から磨くのが賢明です。

② 刺激物を避ける

辛い食べ物や熱い飲み物は炎症を起こしている歯茎には刺激となります。食べ物で歯茎が悪化するとは考えいにくいですが、なるべく刺激を起こしやすい食べ物は避けましょう。

③ 十分な水分補給

歯茎が痛くて口腔内が乾燥すると、更に細菌が活動しやすい状態になってしまいます。水分を少しずつ摂取し、歯茎や口腔内を潤しておきましょう。

痛みが長引く場合は応急処置やセルフケアのみ続けるのではなく、早めに歯科医院を受診して専門家の診断を仰ぎましょう。

歯科医院での治療法

歯科医院では診断を行い、痛みの原因を特定して適切な治療を行います。

歯周病の場合

歯周病は、歯石や歯垢が沈着していることにより炎症が起きます。SRP(スケーリングルートプレーニング)という基本的な治療が大切です。

  • スケーリング →目視で確認出来る歯肉縁上歯石や歯垢(プラーク)をスケーラーで取り除き、歯茎の炎症を軽減
  • ルートプレーニング → 歯周ポケット内部に沈着している歯肉縁下歯石や歯垢、また歯周病菌の内毒素(エンドトキシン)により汚染されたセメント質を除去
昔と現在の歯周病治療の違い

ルートプレーニングは中等度以上の歯周病に行います。昔は、スケーラーで歯石を物理的に除去後、抗菌薬を服用して治療をしていましたが、エンドトキシンという毒素がバイオフィルム(歯垢のかたまり)によって守られてしまうことがあり、歯周病治療の完治とはいかない状況でした。現在は、歯石を除去後、レーザー治療をする医院が多いです。歯周組織の形態がどのように複雑でも照射しやすく、より精密に歯周病菌を死滅させることが可能であり、患者さんへの負担が少ないことがメリットです。

親知らずの炎症(智歯周囲炎)の場合

ストレスや疲労により免疫力が下がっていると智歯周囲炎を起こす確率が上がります。日常生活でリラックスしつつ、お口の中を清潔に保つようブラッシング、タフトブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスなどを活用しましょう。進行している場合は、抗生物質や痛み止めの処方をされるため、服用してください。何度も症状が繰り返す場合は、親知らずの抜歯を検討したほうが良いです。

虫歯が原因の場合

虫歯が原因である場合は、虫歯治療を行ってもらいましょう。歯茎が痛いという場合は軽度の虫歯治療ではなく、中度か重度の虫歯であり、神経(歯髄)が死んでいれば神経を抜く抜髄及び清掃という根管治療を行う必要があります。歯の神経が入っていた根管は汚染されているため、細菌を除去して清掃し、薬剤を詰めたうえで被せ物を行います。症状が悪化する前に適切な処置を受けることができれば、痛みを長引かせずに済みます。

歯茎の痛みを予防!生活習慣と注意点

歯茎の痛みの処置を終えたらもう痛みを繰り返したくはないでしょう。そのためには、日々のケアで予防し、生活習慣の見直しをしなければなりません。

① 正しい歯磨き習慣を身につける

  • 歯面、歯間、歯と歯茎の境目を丁寧に磨く
  • デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシを併用して磨く
  • 1日2回以上の歯磨きを徹底する

② 定期的に歯科検診を受ける

  • 3~6ヶ月ごとに定期的に通院し、歯石除去やバイオフィルムの除去を行う
  • 歯茎や歯の状態をチェックし、問題があった場合は早期治療を心がける

③ 生活習慣を改善する

  • ビタミンCを多めに摂取してバランスの取れた食事を行う
  • 免疫力を維持するためにはストレスを溜めないようにする
  • 喫煙は歯茎の血流を悪化させるため禁煙する

まとめ


歯茎が痛い症状は、歯周病(歯槽膿漏)をはじめ、さまざまな原因によって引き起こされます。痛みがある際は応急処置を行い、早めに歯科医院を受診しましょう。正しい歯磨きと生活習慣と定期的な歯科検診で、歯周病や虫歯を予防すると良いでしょう。日々のケアと早期治療を心がけ、健康な歯茎を保ちましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス