歯ぎしりをする癖があるとマウスピースの着用をすすめられます。歯ぎしりの原因や症状、マウスピースで治療できるのかという点について詳しくご紹介いたします。
歯ぎしりの原因と症状は?
歯ぎしりとは、就寝中や無意識下で上下の歯を強くこすり合わせたり、歯を噛みしめて食いしばる癖のことを指します。ブラキシズムと呼ばれるこの癖は成人のおよそ8割が行っていると言われていて、日常的に続けてしまうと、歯や歯肉、顎関節や筋肉にさまざまなトラブルを引き起こします。通常の咀嚼の6倍の力が歯にかかっており、症状を放置するとさらに大きな問題に発展する可能性があるため、早めの対処が重要です。
歯ぎしりの原因
歯ぎしりが起きる原因についてご説明します。
ストレスや緊張
日常的にストレスや緊張を感じていると、解消のために無意識に歯ぎしりを引き起こすことがあると言われます。
乳歯が永久歯に生え変わる時期
乳歯から永久歯へと生え変わる時期に歯ぎしりをするケースがあります。成長期に顎の位置を決めるために行っています。ただし、歯がすべて生え変わっていても、歯ぎしりを続けるならば別の原因の可能性があります。
噛み合わせの問題
歯並びの上下の噛み合わせが不調な場合、歯ぎしりを起こすことがあります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠が浅くなったり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になると、歯ぎしりをする確率が高くなります。呼吸の乱れが関連していると言われ、SASで呼吸が止まることにより、いびきや睡眠障害、昼間に倦怠感が起きる場合もあります。
生活習慣
カフェインやニコチンを摂取しすぎると、交感神経を刺激してしまい、歯ぎしりが起きます。アルコールの過剰摂取も睡眠の質を低下させてしまうため、助長させます。
歯ぎしりで起こる症状
歯ぎしりで起きる主なトラブルをご説明します。
歯がすり減る
歯が上下で接触しすぎるため削れてしまい、歯冠が平らになったり、長さが短くなったり、しみる症状が出ることがあります。歯ぎしりに耐え切れず被せ物が外れてしまうことがあります。歯に大きな力がかかる状態を繰り返すことから、歯並びを悪くする原因にもなります。
歯にひびや割れが起きる
ブラキシズムが毎日起きていると、健康な歯でも外側のエナメル質にひびが入ったり、割れてしまいます。
歯周病が進行する
歯ぎしりによる大きな力で歯や歯肉はダメージを受けて弱り、そのために歯周病が進行するリスクはあります。
顎や顔周りの筋肉の痛み
朝起きた時に口が開きづらかったり、顎や口の周りの筋肉が痛む場合は、就寝中に歯ぎしりをしている可能性があります。歯や歯肉のみならず、上顎と下顎のバランスを保っている顎関節にもダメージを与えます。
頭痛や肩こり
歯ぎしりは、口の周りの筋肉のみに影響を与えるものではありません。強い力で歯を噛みしめると、咬筋を支えている側頭筋にも影響が出ます。側頭筋は耳の上からこめかみの間にあり下顎を引き上げたりする働きがあります。この側頭筋に慢性的に強く力がかかる歯ぎしりは、頭痛や肩こりという症状の原因になります。
マウスピースは歯ぎしりにどう役立つ?
マウスピース(ナイトガード)は、歯ぎしりの影響を軽減するための有効な治療法として広く使用されています。
マウスピースの役割
マウスピースの役割についてご説明します。
歯の保護
歯のすり減りや破損を防ぎます。左右に噛みしめるタイプの歯ぎしりの場合、どうしても削れてしまい、短くなります。マウスピースを装着するとマウスピースが削れて、歯を保護することが可能です。被せ物や詰め物がある歯も保護でき、外れてしまうことなくなります。
顎関節の負担軽減
顎の筋肉や関節にかかる過度な負担を軽減します。顎関節症は口を開けたり顎を動かす筋肉が痛み、お口の開閉の度に顎関節から音がして、こめかみや頬が痛む状態です。これらの症状を避けるためにマウスピースを装着すると予防できます。
筋肉の緊張を和らげる
歯ぎしりによる筋肉の緊張を緩和し、顎周りの疲れを軽減します。マウスピースを装着しておくと、咬筋の収縮を和らげ、予防できます。
マウスピースの効果
睡眠中の歯のダメージを最小限に抑えられます。痛みや不快感を軽減し、日常生活の質を向上させます。長期的な顎関節症の予防につながります。
マウスピースは歯ぎしりそのものを治すわけではありません。症状の緩和や予防に焦点を当てた治療法です。
歯ぎしり用のマウスピースの種類と特徴
歯ぎしりに使用するマウスピースにはいくつかの種類があります。
主な種類
特徴を理解して、患者さんご自身に合ったものを選びましょう。
歯科医院で作製するオーダーメイド
歯科医院で作成するオーダーメイドのマウスピースは、患者さんの歯型を採り、個人の上顎に合わせたもののみ作製します。樹脂を使用したマウスピースは、慣れてしまうと穴が開きにくいことから、耐久性は高く長期間の使用が可能です。費用は市販品に比べて高いです。
市販の既製品
簡単に購入でき、オーダーメイドのマウスピースより安いです。ただし、サイズが限定されて販売されているため、患者さんのお口の状態に完全にフィットしない場合があります。お口に合わない場合は、装着により更に痛みが出ることがあります。
自分の症状や使用目的に合ったものを選ぶ必要があります。特に、歯ぎしりの癖が治らず、長期的な使用を考える場合は、歯科医院で合ったものを作製してもらいましょう。
マウスピースの使い方
マウスピースは正しく使わないと、十分な効果が得られないだけでなく、新たなトラブルを引き起こす可能性があります。
使用時の注意点
使用の際には下記の点に注意しましょう。
清潔を保つ
使用後は毎回洗浄して、細菌の繁殖を防ぎましょう。マウスピース専用の洗浄剤が市販されているので、それを使うのも効果的です。
破損に注意
噛む力が強すぎてマウスピースが割れる場合があります。定期的にマウスピースの状態を確認し、穴が開くなどの異常があれば歯科医院で相談しましょう。
装着感の違和感
最初は違和感を覚えることが多いですが、1〜2週間で慣れることが一般的です。
定期的なメンテナンス
歯科医院での定期的な調整や洗浄、チェックを受けておきましょう。口腔内の状態、それ以外にもマウスピースを確認してもらえて、効果を維持できます。
歯ぎしりを改善するための生活習慣とケア
マウスピースだけでなく、日常生活の見直しも歯ぎしり改善には欠かせません。
生活習慣の改善ポイント
どのように改善すれば良いのか、下記の点に従い生活習慣を見直しましょう。
ストレス管理をする
リラックスできる時間を作り、日常的に感じているストレスを軽減しましょう。瞑想や深呼吸、趣味を楽しむことでリラックス効果を高めると良いです。
就寝前の習慣を見直す
睡眠の質を高めるためには、寝る前のスマホの使用を控えましょう。スマホのブルーライトは交感神経を刺激してしまうからです。寝る前にストレッチをしてみるのも効果的です。
カフェインやアルコール、ニコチン摂取を控える
より良い眠りにするためには、カフェインやアルコール、ニコチンはなるべく控えましょう。ゼロにするのが難しければ、まずは少し減らしていくことから始めて、リラックスした状態で眠りにつきましょう。
口周りの筋肉をほぐす
顎のストレッチやマッサージを行い、筋肉の緊張をほぐしましょう。これらの取り組みを継続することで、根本的な改善につながります。ただし、痛みが出ないように優しい力で行いましょう。
まとめ
歯ぎしりをマウスピースで治す方法について詳しく解説しました。歯ぎしりは多くの人が抱える悩みですが、マウスピースの使用と生活習慣の見直しで、症状の緩和や予防が可能です。歯科医院で相談し、自分に合ったマウスピースを使用し、健康的な口腔環境を保ちましょう。