歯と口のトラブル

すきっ歯はかわいい?治療って必要?

すきっ歯はかわいい個性という人がいるけど、実際は治療すべきなのかと気になりませんか。すきっ歯の特徴や原因、治療が必要な場合はについてご紹介いたします。

すきっ歯の特徴

すきっ歯とは、歯と歯の間に隙間がある状態を指します。専門的に空隙歯列(くうげきしれつ)と呼び、前歯の真ん中が空いている場合は正中離開(せいちゅうりかい)と呼びます。特に前歯の隙間が目立つことが多く、見た目の印象や機能面で治療したほうが良いのかと悩まれることがあります。

すきっ歯になる主な原因

噛み合わせや発音にも影響を与えることがあるすきっ歯ですが、主な原因をご紹介いたします。

顎と歯のサイズの不一致

顎のサイズが大きい場合、隙間ができやすくなります。また、歯のサイズが通常の方に比べて小さい方も歯と歯の間に隙間が出来ることがあります。

乳歯から永久歯への移行期

永久歯が正しい位置に生えるまでの一時的なすきっ歯は、混合歯列期の子どもによく見られます。

舌癖

舌で前歯を押す癖があると、歯が外側に押し出されてしまい、歯並びが乱れて隙間ができることがあります。

歯の欠損

先天的に歯が少ない場合や、歯を抜いた後に何も治療をせず放置してしまうと、隙間ができる原因となります。

すきっ歯がかわいい?

日本ではすきっ歯を気にすることが多いですが、海外においてすきっ歯は個性やチャームポイントとして肯定的に捉えられることがあります。すきっ歯が特徴的な笑顔を作り、魅力の一部と見なされることも少なくありません。

文化的背景

フランスですきっ歯は「les dents du bonheur(幸運の歯)」と呼ばれて、著名なモデルやアーティストがすきっ歯を堂々と見せることで、その魅力が広まりました。なぜすきっ歯が幸運の歯なのかを紐解くと、ナポレオンの時代までさかのぼります。その時代の兵士は両手で持つほどの重たい銃に銃弾をこめるため、銃弾が入った紙の袋を歯で切り取る必要がありました。歯並びが良くなければ噛み千切ることができず、前歯に隙間があるとそれが難しい為徴兵を免れたということから、すきっ歯は幸運の歯と言われたようです。

すきっ歯をそのままの状態にするとどうなる?

すきっ歯を治療せずそのままにするかどうかは、患者さんの状態や価値観によります。では、それぞれのメリットやデメリットをご説明します。

メリット

自然な歯並びをそのまま見せることで、他の人と異なる個性を強調できます。また、歯列矯正や他の治療を行わないことで、経済的な負担はかかりません。噛み合わせに問題がなければ、すきっ歯でも生活に支障をきたさない場合もあります。

デメリット

前歯の隙間が大きい場合、「さ行」や「た行」の発音が不明瞭になることがあります。また、歯と歯の隙間部分に汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。思春期などの年頃であったり、人と話すことが多ければ、見た目を気にして笑顔や会話に自信が持てなくなることがあります。すきっ歯が歯列の不正咬合に関係する方は、顎関節に負担を掛けてしまうことがありますので、矯正治療を行うことをおすすめします。

すきっ歯で治療をすべきケース

すきっ歯がかわいいとされていても、口腔機能の状態によっては治療を検討すべきケースがあります。

歯の機能に問題がある場合

噛み合わせや発音に支障をきたしている場合は、噛み合わせの改善への矯正治療が必要です。

口腔内の健康を損ねる場合

隙間が大きいことで食べ物が詰まりやすくなり、虫歯や歯周病になりかけていれば、まず虫歯や歯周病の治療を行います。それが終了してから、ダイレクトボンディングや、セラミック治療や矯正治療をして、前歯の隙間をなくしてリスクを減らすことをおすすめします。

自己評価に影響が出る場合

見た目を気にしすぎて自信を失ったり、笑顔や会話に消極的になる場合も治療が必要です。ダイレクトボンディング、見えにくい矯正治療、大人の場合はセラミック治療なども選択できます。

永久歯が正しい位置に生えない場合

乳歯と永久歯の生え変わりの際、永久歯の生え方に悪影響を及ぼすすきっ歯であれば治療が必要です。このような状態であれば歯科医院で相談を行い、適切な対処を選択することが重要です。

すきっ歯の治療法

すきっ歯を治したい場合、状況や予算に応じたさまざまな治療法があります。

主な治療法

すきっ歯を治すのは下記のような方法です。

矯正治療

ワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザラインなど)を用いて、隙間を閉じる方法です。噛み合わせも悪い場合は全顎矯正ですが、前歯の隙間のみの治療で可能であれば部分矯正を行います。時間はかかりますが、歯を削らず歯並びを整えることができます。保険適用で行えない治療であることが多く、自己負担額が高いという面があります。

ダイレクトボンディング

歯の表面にレジン(歯科用の樹脂)を盛り付けて隙間を埋める方法です。比較的短時間で手軽に前歯の隙間を埋めることが可能ですが、レジンは吸水性いう特徴があるため、年月により変色することがあります。また、歯並び自体を治す治療ではないため、あくまで見た目を手軽にという治療法です。

ラミネートべニア

歯の前面を削り、薄いセラミックを歯の表面に接着する方法です。歯にセラミックをくっつける治療法は、ネイルチップと同じようなものであるため、ネイルをされる方はわかりやすいでしょう。セラミック治療や矯正治療に比べて早く終えることができますが、食いしばりや歯ぎしりの癖がある方は割れる可能性があります。

セラミック治療

隙間が大きい場合や歯に問題がある場合、歯を削ってセラミックのクラウン(被せ物)を使用して隙間を修正することも可能です。オールセラミックやジルコニアセラミックであれば天然歯と人工歯の差が分かりにくく、見た目を綺麗にできます。ただし、健康な歯を削ってセラミッククラウンを被せること、保険適用外の自由診療であるため費用が高いです。

治療法については隙間の大きさや患者の希望に応じて選ばれるため、歯科医師と相談して最適な方法を選びましょう。

まとめ


すきっ歯の基本的な情報から、治療の必要性、治療法について詳しく解説しました。チャームポイントとして個性を引き立てる場合もありますが、機能や健康に影響を与える場合は適切な治療を検討することが重要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス