入れ歯は老化の象徴のようなイメージがありますが、それは一体何故でしょうか。入れ歯がもたらす老化のイメージと実際に入れ歯を装着することによって老けるのかどうかについてご説明します。
目次
入れ歯にすると老けるイメージがある
入れ歯を使うと聞くと、確かに老化のイメージがあります。年齢を重ねると共に歯の喪失のリスクは高まり、失った歯の機能を回復するためには「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」のどれかの治療を受ける必要があります。
その中でも「入れ歯」はお年寄りが使うものというイメージがあるため、「入れ歯を入れると老けて見える」と思う方がおられるかもしれません。しかし、それは単なるイメージで、実際に入れ歯を入れることで老けるわけではありません。
合わないという理由で入れ歯を入れないでいると、徐々に老けて見えるようになる可能性はある
入れ歯を入れると違和感が強かったり、噛むと痛い等の理由で、せっかく入れ歯を作っても装着していない方がおられます。入れ歯を使わないということは、失った歯の治療を行っていないのと同じことになります。
片側噛みを続けると・・
- 片側の歯でばかり噛むことになると、噛む側の筋肉だけが鍛えられ、もう片方は筋力が衰えるためほうれい線が出来ることがある
- お顔の輪郭が少しずつ左右不均等に歪んでしまうことがある
- 顎関節症につながる場合がある
歯の喪失の原因は老化だけではない
歯を失うのは加齢だけが原因ではありません。虫歯や歯周病で歯を失う方が多いのですが、これらは細菌によるお口の病気ですので、お口の中の衛生状態の問題とも言えます。
歯の欠損の他の原因としては、事故や、元々遺伝的に歯の本数が少ない等があげられます。また、若い方でもお口の健康状態によっては入れ歯を必要とすることがもあるため、入れ歯を使うことが老化の結果であるという認識は必ずしも正確ではありません。
入れ歯の使用が身体に与える影響
入れ歯での治療は、失った歯の機能を回復し、天然の歯と同じ機能を果たすことを期待されています。
お口にフィットし、毎日清潔に洗って適切に管理されている入れ歯は、歯を失って噛めないという状態を改善し、歯を失ったことが原因で食事や会話の機会を失わないようにし、生活の質を高めてくれます。
しかし、お口に合っていない入れ歯は逆に痛みや違和感などの不快感を引き起こし、発音や食事に問題が出てしまいます。入れ歯を装着しないと口元がしぼんで老けて見える方もおられます。これらのイメージが総じて入れ歯を「老けて見える」と感じる一因となっている可能性があります。
入れ歯の種類
入れ歯を部分的に入れるのか、上顎や下顎全部に入れるのかで呼び方が異なります。
- 部分入れ歯・・部分的に歯を失った方用の入れ歯
- 総入れ歯・・全ての歯を失った方用の入れ歯
入れ歯と一括りにしても、費用や特徴は様々です。
保険適用の部分入れ歯
- プラスチックで歯茎や歯を作製
- 保険適用の部分入れ歯は、金属のバネを支台歯にかけて安定させる
- 料金は保険適用外と比べて安いが、審美性の面で劣る
- 噛むと支台歯に負担がかかって傷める可能性がある
保険適用外の部分入れ歯
ノンクラスプデンチャー
- バネ(クラスプ)の部分が樹脂で造られている部分入れ歯で審美性は保険適用の入れ歯より良い
- 材質に柔軟性があるため装着感が良いが、時間が経つと歯や歯茎を傷める可能性が高い
- 入れ歯の一部に金属を使用する場合もある
総入れ歯の種類
保険適用内でできる義歯
- プラスチックで歯茎や歯を作製
- 壊れた時の修理がしやすく、費用が安い
- 厚みがあるため、食べ物を噛む時や人と話す時に違和感が出やすい
- 特に上顎用の総入れ歯は安定性に欠けて外れることがある
金属床義歯
- 歯の裏側にチタンやコバルトなどの金属を使用した義歯で歯茎を覆う部分も薄い
- 強度は保険適用の義歯に比べて強く、熱い冷たいなどの食べ物の温度がわかる
- 年月が経過した後は、調整がしにくい
- 金属アレルギーの方にはおすすめできない
マグネットデンチャー
- 歯の根が残った口腔内で義歯と歯根をマグネットの力でくっつける義歯(インプラントと義歯をマグネットでくっつけるインプラント・マグネットデンチャーもある)
- 保険の入れ歯に比べて安定性が高く、噛んでも痛みが出にくい装着感
- 医院でMRIなどの検査を受診される場合は入れ歯とマグネットを事前に外す必要がある
入れ歯が合わない場合はどうしたらいいの?
入れ歯が合わなくて違和感や痛みが起こる場合は、歯科医院に相談し、調整してもらいましょう。部分入れ歯の金属のバネが嫌な方には、自費診療になりますが、ノンクラスプデンチャーと呼ばれる樹脂のバネのついた入れ歯があります。ノンクラスプデンチャーは歯茎の色に似た色の樹脂のバネですので、入れ歯をつけていても目立ちません。
調整しても入れ歯が快適にならない場合は、他の治療方法も考慮する必要があります。歯を失った場合の治療方法は、他にブリッジとインプラントがあります。
もう今後は入れ歯を使わないという方の場合、噛み合わせを回復させるためには、そのどちらかの治療が可能が必要になります。どちらが患者さんに合っているか、担当医と十分に話し合ってお決めいただきたいと思います。
入れ歯は老けるのかに関するQ&A
入れ歯を装着すること自体が老ける原因ではありません。入れ歯は失われた歯の機能を回復するために使用され、適切に管理されていれば生活の質を向上させることができます。入れ歯の装着によって、老化自体が進行するわけではありません。
適切にフィットし管理されている入れ歯は、失われた歯の機能を回復し、食事や会話の機会を保ち、生活の質を向上させます。しかし、合わない入れ歯は逆に痛みや違和感を引き起こすことがあり、噛む側の筋肉のみが鍛えられることでほうれい線が出る場合もあります。
入れ歯が合わなくて違和感や痛みがある場合は、歯科医院に相談し調整してもらいましょう。ノンクラスプデンチャーなど、合わないバネを使わないタイプの入れ歯も選択肢です。もし入れ歯が合わないと判断される場合は、他の治療方法(ブリッジやインプラント)も考慮する必要があります。担当医と相談し、最適な治療方法を選ぶことが大切です。
まとめ
保険適用の義歯の場合、構造をより細かくすることができません。自費治療の義歯は、最終型どりや歯科技工士の作製する義歯も精密です。歯を欠損したまま放置すると、筋肉がしぼみ老けるお顔になりがちです。自費治療の入れ歯や歯並びなどの噛み合わせのお悩みは、無料カウンセリングを行う医院が多いです。口腔内でお悩みがあれば一度歯医者さんへ通院し、ドクターやスタッフへお気軽にご相談し、改善を目指しましょう。