虫歯

虫歯が出来たら削らないとダメですか?

虫歯が出来たら削らないとダメですか?

クローバー歯科豊中駅前アネックス 歯科医師 中西 洋介

虫歯は削ってから詰め物や被せ物で治すのが普通ですが、初期の虫歯は必ずしも削る必要があるわけではなく、削らなくても治る可能性がありますので、ご説明します。

虫歯を削らなくてもいいのはどんな場合?

虫歯治療は虫歯に感染した部分をきれいに削って、詰め物で埋めます。虫歯で歯のかなりの部分がなくなってしまった場合は、被せ物を被せて治します。

しかし初期の虫歯の場合は要観察歯とも呼ばれ、歯に穴があく手前の状態ならば削る必要はありません。初期虫歯は歯の表面がざらざらしたり、歯の表面に透明感がなくなって白く濁ったように見えます。

初期虫歯の治療は、フッ化物を塗って再石灰化による自然治癒を期待します。虫歯が進行しなければ、そのまま削らずに済みますので、セルフケアでもフッ素入りの歯磨き剤を使って丁寧に歯磨きするなど、大切にケアしましょう。

虫歯はどうして出来るの?

虫歯は感染症で、ミュータンス菌と呼ばれる細菌が原因となります。ミュータンス菌は食べ物や飲み物に含まれている糖質をエサにして、ネバネバした物質を作り出します。これを歯垢(プラーク)といいます。

歯垢は細菌の塊で、それらの菌は糖質から酸を作り、歯のエナメル質を溶かしていきます。酸で歯に穴があいた状態が、虫歯です。

虫歯の進行具合

虫歯の進行

虫歯は、お口の中に歯を溶かす菌が増殖し、唾液の力や歯磨きだけでは回復(再石灰化)が間に合わず、発症してしまいます。

虫歯の進行過程は、大きく5段階に分けられます。歯が痛む・しみるなどの症状が出てくるのは後半ですが、できれば痛みなどを感じない時点での早期治療が望ましいのは言うまでもありません。初期虫歯の段階は、治療しなくても自然に治癒することが可能です。

レベル1【C0】

初期虫歯とよばれます。虫歯になりかけ、または疑わしい状態です。歯の表面がうっすらと白く濁っていることが多いです。唾液による再石灰化の作用、フッ素を塗布するなどの処置によって、歯質を強化することで自然治癒が期待できますので、削らずに様子見をします。

レベル2【C1】

C1は初期の虫歯で、目視で歯の表面のエナメル質のみ溶かされた小さな穴のようなものが見えることもあります。痛みはほとんど感じません。C0同様、フッ化物の応用、経過観察、シーラントなどで早期治療し、これ以上虫歯が進行しないようにします。

レベル3【C2】

C2は象牙質まで進行した虫歯です。自覚症状はまだ少なく、まれに噛んだ時に歯が痛む程度です。歯の内側まで虫歯が進行しており、歯の神経(歯髄)に近くなるため時々痛みが出ます。

ただし、C2では痛くない場合もあります。しかし歯の象牙質はエナメル質に比べて柔らかいため、虫歯の進行も早いため、「痛くないから大丈夫」とは思わず、早めの治療をおすすめします。

C2になると自然には治りませんので、虫歯部分を最小限に削って詰め物をすることになります。早期発見出来れば歯を削る量も少なくて済みますが、神経に近い部分を治療するため、治療の際や治療後、多少歯に刺激が響きやすくなることも考えられます。

レベル4【C3】

C3は虫歯が神経(歯髄)まで達した状態で、自覚症状として冷たいもの・冷たいものがしたり、大なり小なり歯にズキズキした痛みが生じることがあります。

神経を除去する治療が必要になりますので、治療は3回以上かかることが多いです。菌に汚染された神経を取り除いて殺菌消毒し、お薬を詰めて蓋をして新たな菌の侵入を予防した後に、被せ物による治療を行います。

レベル5【C4】

C4は虫歯を放置した結果、歯の神経が破壊されてしまい、歯の部分がすっかりなくなって歯の根っこだけが残った状態です。神経が壊死しているため、痛みを感じることはありませんが、自然に治ることはなく、歯の根っこに膿が溜まると、歯ぐきが腫れて激しく痛みだしますので、その前に治療を受けることをお勧めします。

神経を取り除いた歯は、栄養分が行き渡らず、衰弱していきます。歯根破折のリスクも高まり、健康な歯と比べると歯の寿命が大きく縮んでしまいます。そのため、数年経過すると、ほとんどの場合、抜歯することになります。抜歯後はブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療となります。

虫歯を増やさないためにはどうすればいいの?

一度虫歯になってしまうと、詰め物や被せ物と歯の段差の部分から虫歯菌が内部に侵入し、再び虫歯が出来てしまうということがあります。また、他の歯も虫歯になるリスクがあります。

なるべく虫歯を増やさない、そして進行させないために以下のようなことに気をつけましょう。

  1. お口の中の細菌(ミュータンス菌)を減らす・・汚れを歯磨きできれいに落とすことによって口の中の菌の量を減らす
  2. フッ化物を使う・・フッ素入りの歯磨き剤や洗口剤を使う
  3. 唾液の量を増やす・・唾液には初期虫歯を修復する再石灰化作用があるため、食事の際によく噛む、お口の体操をする、唾液腺のマッサージをする
  4. 食後30分以内に歯を磨く・・食べカスなどの汚れを取り去り、食事によって酸性になったお口の中を中性に戻す
  5. 糖質を含む食べ物、飲み物を控える・・虫歯菌は糖から酸を作り出すため、糖が多く含まれる食べ物の摂取をなるべく減らす

虫歯予防には歯科医院での定期健診(プロフェッショナルケア)とご自宅でのセルフケアを行っていく必要があります。虫歯を増やさない、進行させないように、しっかりと対策していきましょう。

虫歯が出来たら削らないといけないのかに関するQ&A

虫歯は削らないといけないのですか?

虫歯の進行具合によります。初期虫歯の場合は削らずに様子見することもありますが、進行した場合は削って治療する必要があります。

虫歯を削らなくてもいいのはどんな場合?

初期虫歯の場合、歯の表面がざらざらしたり白く濁った状態であれば削らずに済むこともあります。フッ化物の塗布や再石灰化による自然治癒を促すことで、削らずに虫歯を治療することができます。

虫歯の進行具合はどのように分けられるの?

虫歯の進行具合は大きく5段階に分けられます。レベル1(初期虫歯)からレベル5(神経破壊)まであり、症状や治療方法が異なります。

まとめ

歯のキャラクター

虫歯の進行度によって、初期段階の虫歯であれば削らずに経過観察で済みます。できるだけ大切な歯を削らないために、フッ素塗布やフッ素の含有量の高い歯磨き剤を積極的に使い、毎日のセルフケアを丁寧に行うことで虫歯の進行を食い止めましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

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クローバー歯科豊中駅前アネックス