
「なんだか最近、奥歯の奥がズキズキする…」「ご飯を食べるたびに違和感がある…」
もしかすると、それは親知らずが生えてきているサインかもしれません。
親知らずの痛みは、多くの方が経験するものです。突然やってくる鈍い痛みや、食事のたびに感じる違和感に「もしかして虫歯?」と不安に思う方も多いでしょう。
でも、ご安心ください。親知らずの痛みには理由があり、適切な対処法があります。
「痛みがあるけど、このまま放っておいて大丈夫?」「抜くべき?それとも様子を見てもいいの?」
そんな疑問をお持ちの方のために、今回は親知らずが痛む理由と、その対処法について詳しくご説明します。
そもそも親知らずとは?
親知らずは、正式には「第三大臼歯」と呼ばれる一番奥に生えてくる永久歯です。通常、10代後半から20代前半にかけて生えてきます。
しかし、親知らずは人によって「まったく生えない」「途中までしか生えない」「横向きに埋まっている」など、生え方がさまざまです。そのため、他の歯と比べて問題が起こりやすい歯でもあります。
途中までしか生えてこない → 歯茎に覆われた状態になり、炎症を起こしやすい
横向きや斜めに埋まっている → 周囲の歯を圧迫し、痛みの原因になる
全く生えてこない(埋伏歯) → 骨の中に埋まっているが、トラブルがなければそのままにすることもある
このように、親知らずは生え方によって大きく状況が変わるため、痛みがあるかどうか、周囲の歯に悪影響を与えるかどうかが重要なポイントになります。
親知らずが痛む理由
親知らずが痛くなる主な理由として、以下のようなものがあげられます。
1. 生えるスペースが足りない
現代人の顎は昔と比べて小さくなっており、親知らずが正しい位置に生えるスペースがないことが多いです。その結果、親知らずが斜めや横向きに生えてしまい、歯茎や隣の歯を圧迫することで痛みが生じます。
2. 炎症(智歯周囲炎)が起こる
親知らずの周囲は歯ブラシが届きにくく、歯垢や細菌が溜まりやすい場所です。そのため、親知らずの周囲が腫れたり、膿がたまる「智歯周囲炎」を起こすことがあります。
智歯周囲炎の症状
- 歯茎の腫れや赤み
- 口を開けづらい(開口障害)
- 強い痛み(特に食事中や歯磨きの際)
- 口臭の悪化
- 発熱やリンパの腫れ
智歯周囲炎が進行するとどうなる?
智歯周囲炎は放置すると炎症が広がり、さらなる合併症を引き起こす可能性があります。
- 強い腫れが続くと、口が開かなくなり(顎のロック)、食事や会話が困難になることがあります。
- 膿がたまると、細菌が顎の骨や血液に広がり、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。
発熱や倦怠感がある場合は、全身への影響を及ぼしている可能性があるため、速やかに歯科医院を受診しましょう。
3. 隣の歯を押してしまう
親知らずが斜めや横向きに生えることで、隣の歯(第二大臼歯)を強く押してしまうことがあります。これによって歯並びが悪くなったり、隣の歯に圧力がかかって痛みが生じることもあります。
歯並びの乱れ
親知らずが隣の歯を押すことで、歯列全体のバランスが崩れ、歯並びが悪くなることがあります。
噛み合わせの悪化
歯並びが変化することで、噛み合わせがずれ、顎関節症(顎の痛みや違和感)の原因となることがあります。
第二大臼歯の損傷
親知らずが強く押し込むことで、隣の歯のエナメル質が削られ、虫歯や知覚過敏が発生しやすくなります。
食べ物が詰まりやすくなる
親知らずと隣の歯の間に隙間ができると、食べかすが詰まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
このように、親知らずが隣の歯を押すことで様々な問題が発生する可能性があります。痛みや違和感を感じたら、早めに歯科医院で診察を受けることが大切です。
4. 虫歯ができやすい
親知らずは歯磨きが難しい場所にあるため、虫歯になりやすいです。特に、隣の歯と密接している場合、その隣の歯まで虫歯になってしまうことがあります。
虫歯になりやすい理由
- 歯ブラシが届きにくい
- 歯垢が溜まりやすい
- 唾液の流れが悪く、細菌が増えやすい
このように、親知らずの痛みにはいくつかの原因が考えられます。
親知らずの痛みへの対処法
もし親知らずの痛みを感じたら、以下のような方法で一時的に対処できます。
患部を清潔に保つ
- うがい薬や塩水で口をすすぎ、細菌の増殖を抑える。
- 歯ブラシやデンタルフロスを使い、親知らず周囲の汚れをできるだけ取り除く。
痛み止めを服用する
- 市販の鎮痛剤(ロキソニンやアセトアミノフェンなど)を服用すると、一時的に痛みを和らげられます。
- ただし、薬で痛みを抑えても根本的な原因は解決しないため、早めに歯科医院を受診しましょう。
冷やす(腫れがある場合)
- 痛みが強く、腫れている場合は、氷をタオルに包んで頬に当てると、炎症を抑えられます。
食事に気をつける
- 刺激物(辛いもの・熱いもの)を避け、柔らかい食事をとるようにしましょう。
親知らずの痛みは一時的に治まることもありますが、根本的な解決にはならないため、歯科医院での診察が大切です。
親知らずを抜くべきケースと抜かなくてもいいケース
親知らずを抜いた方がいいケース
- 親知らずが横向きや斜めに生えており、隣の歯を押している。
- 歯茎に炎症(智歯周囲炎)を繰り返している。
- 虫歯や歯周病のリスクが高い。
親知らずを抜かなくてもいいケース
- まっすぐ正常に生えており、噛み合わせに問題がない。
- しっかり歯磨きができ、虫歯や歯茎の炎症がない。
- 他の歯を抜いた場合の移植や被せ物の土台として利用できる可能性がある。
親知らずを抜くかどうかは**歯科医師と相談しながら判断**することが大切です。
歯科医院での処置と定期健診の重要性
親知らずの痛みが続く場合、早めの受診**が大切です。歯科医院では以下のような処置が行われます。
痛みや炎症がある場合は、抗生物質や消炎剤を処方
抜歯の必要があれば、事前にしっかりと説明した上で抜歯
また、親知らずが問題を起こす前に定期的な歯科健診を受けることで、早めの対策が可能になります。
まとめ
親知らずの痛みは、生え方や炎症、虫歯などが原因**で起こることが多いです。痛みがある場合は、まず口腔内を清潔に保ち、痛み止めや冷却で対処しましょう。
しかし、痛みが続く場合や繰り返す場合は、歯科医院での診察が必要です。親知らずが抜くべきかどうかも含めて、早めに歯科医師と相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
「もしかして親知らずが原因かも…?」と感じたら、まずは歯科医院でチェックしてみてくださいね!