
「冷たいものがしみるのは知っているけど、熱いもので歯がしみるのはなぜ?」と疑問に思われたことはありませんか?実は、熱いものがしみるのは、冷たいものとは異なる原因が関係していることが多いのです。熱いもので歯がしみる原因と、その対策についてご説明します。
熱いもので歯がしみる主な原因
熱いもので歯がしみる症状には、いくつかの原因が考えられます。代表的なものを見ていきましょう。
1. 歯の神経が炎症を起こしている(歯髄炎)
・むし歯の進行 → むし歯が進行し、歯の神経(歯髄)にまで達すると、熱いものがしみることがあります。
・詰め物や被せ物の影響 → 過去に治療した歯でも、詰め物や被せ物の下でむし歯が進行すると、神経に炎症が起こり、熱いものでしみることがあります。
・歯の亀裂 → 強い力が加わって歯に亀裂が入ると、神経が刺激されて痛みを感じることがあります。
歯髄炎の初期段階では、冷たいものよりも熱いものの方がしみやすいことが多いです。進行すると、何もしなくてもズキズキと痛みを感じるようになります。
むし歯の進行度としみる症状の関係

むし歯の進行具合によって、熱いものがしみるかどうかが変わってきます。
- C1(初期むし歯) → エナメル質に穴があき始めた状態。しみることはほとんどない。
- C2(中程度のむし歯) → むし歯が象牙質に達し、冷たいものがしみることがある。熱いものでしみることは少ないが、進行すると感じる場合も。
- C3(神経まで達したむし歯) → 熱いものがしみることが多い。神経の炎症が進むと、強い痛みを感じるようになる。
- C4(神経が死んだ状態) → 初期は痛みを感じないが、根の先に膿がたまると痛みが発生。熱いもので強い痛みを感じることがある。
むし歯が進行すると、熱いものがしみるだけでなく、ズキズキとした痛みが出てくることがあります。早めの治療が大切です。
2. 知覚過敏

- 歯のエナメル質が薄くなる → 歯ぎしりや加齢、強すぎる歯磨きなどでエナメル質が削れると、象牙質が露出し、熱いものがしみることがあります。
- 歯茎の後退 → 歯周病や加齢によって歯茎が下がると、歯の根元が露出し、刺激を感じやすくなります。
知覚過敏は、冷たいものがしみることが多いですが、重症化すると熱いものもしみるようになることがあります。
知覚過敏が原因の場合は、痛み持続せず、熱いものが触れた瞬間に痛みます。歯が磨り減っていたり、歯根が見えている状態であれば、知覚過敏の可能性が高いといえます。
知覚過敏は、くいしばりや歯ぎしり・強い力で歯磨きをし過ぎてエナメル質に傷がつく、歯根の露出等で起こります。軽いものであれば、薬や表面のコーティング、レジン充填などで痛みが改善します。しかし痛みが強く、頻繁に起こる場合は、被せ物をしたり神経を取る治療を行います。
歯周病が原因で熱いものがしみる場合の痛みは、ズキズキと持続するものではなく、時々しみて痛い程度です。
以下のような症状がある場合は歯周病が原因の可能性が高いです。
- 歯肉が腫れている
- 歯磨きすると歯ブラシに血がつく
- 歯がグラグラしている
- 歯周ポケットが深くなっている
歯周病が進行して歯の周りの骨が溶けてしまうと、歯根が露出します。歯根は象牙質で出来ており、熱いもので歯がしみます。
歯周病の治療は、軽度であれば丁寧に歯磨きを行い、象牙質が露出している部分をレジンでコーティングすることで痛みを抑えます。進行している場合は、歯を削って被せ物をしたり、根管治療で神経を取る必要があります。
3. 根尖性歯周炎(歯の根の先に炎症が起きる)
- 根の先の炎症 → むし歯が進行して神経が死んでしまった歯や、根管治療(神経の治療)をした歯で、根の先に細菌感染が起こると、熱いもので痛みを感じることがあります。
- 噛んだときに痛みを感じることも → この場合、熱いものでしみるだけでなく、食事中に噛むと痛みを感じることが多いです。
根尖性歯周炎は放置すると悪化し、膿が溜まることもあるため、早めの治療が必要です。
4. 詰め物や被せ物の影響

- 金属製の詰め物・被せ物 → 金属は熱を伝えやすいため、温度変化によって歯髄に刺激を与え、しみることがあります。
- 詰め物が劣化している → 時間が経つと、詰め物や被せ物と歯の間に隙間ができ、そこから刺激が伝わることがあります。
詰め物の影響でしみる場合、交換や調整が必要になることがあります。
熱いもので歯がしみるときの対策
では、熱いもので歯がしみるときの対策を見ていきましょう。
1. まずは歯科医院で診察を受ける
- むし歯の有無をチェック → むし歯が原因の場合、放置すると悪化するため、早めに治療を受けましょう。
- 歯髄炎や根尖性歯周炎の確認 → 炎症が進んでいる場合、適切な処置が必要になります。
- 詰め物や被せ物のチェック → 劣化や適合不良がないか確認してもらいましょう。
自己判断せず、まずは歯科医院で原因を特定することが大切です。
2. 知覚過敏用の歯磨き粉を使う
- 硝酸カリウムやフッ素配合の歯磨き粉 → 知覚過敏の症状を和らげる成分が含まれています。
- 過度な歯磨きを避ける → 強すぎる歯磨きは逆効果なので、やさしく磨きましょう。
知覚過敏の初期であれば、適切なケアで改善することが可能です。
3. 歯ぎしりや食いしばりの対策をする
- マウスピースの使用 → 就寝中の歯ぎしりが原因の場合、マウスピースを使うことでエナメル質の摩耗を防げます。
- ストレスを減らす → 無意識の食いしばりはストレスが関係していることもあるため、リラックスを心がけましょう。
歯ぎしりが続くと歯のダメージが蓄積するため、早めの対策が重要です。
4. 生活習慣を見直す
- 酸性の飲食物を控える → 柑橘類や炭酸飲料などはエナメル質を溶かすため、過剰摂取に注意しましょう。
- 歯磨きのタイミングを工夫する → 食後すぐではなく、30分ほど経ってから磨くことでエナメル質のダメージを防げます。
日々のケアを見直すことで、しみる症状を軽減できる可能性があります。
まとめ
熱いもので歯がしみる原因には、むし歯の進行や知覚過敏、根尖性歯周炎などさまざまな要因があります。
熱いものでしみる主な原因
- 歯の神経が炎症を起こしている(歯髄炎)
- 知覚過敏
- 根尖性歯周炎
- 詰め物や被せ物の影
対策
- 歯科医院で原因を特定する
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使う
- 歯ぎしり対策をする
- 生活習慣を見直す
熱いもので歯がしみるのは、体からのサインかもしれません。放置せず、早めに歯科医院を受診して適切な対策を取りましょう!