乳歯から永久歯への生え代わり期には歯肉炎が発生しやすくなるため、適切なケアが求められます。歯肉炎は放置すると歯茎に悪影響を及ぼし、さらなる問題を引き起こす可能性があります。
生え代わり期に起こりやすい歯肉炎について、その原因、症状、予防方法、そして適切な対処法についてご説明します。
目次
入試から永久歯への生え変わり期について
乳歯から永久歯への生え代わりは、一般的に6歳頃から12歳頃にかけて起こります。乳歯が自然に抜け、新しい永久歯がその場所に生える過程は、子供の発育において重要な目安になります。全ての乳歯が永久歯に置き換わると、最終的には32本の永久歯が生え揃います。
生え代わりの順序と時期
生え代わりの順序は個人差があるものの、通常は以下の順序で進みます。
- 下の前歯(中切歯)・・最初に抜けることが多いのが下の前歯です。これに続いて上の前歯も同じく抜け始めます。
- 奥歯(第一大臼歯)・・次に、奥歯の第一大臼歯が生え、これらは乳歯がない場所に直接生えます。
- 犬歯と側切歯・・前歯の隣にある犬歯や側切歯が徐々に抜け、永久歯へと置き換わります。
- 最後に第二大臼歯や奥歯が生える・・最後に、さらに奥にある大臼歯や第二大臼歯が生え揃います。
生え代わり期の特徴
生え代わり期には乳歯がグラグラし始め、歯茎が腫れることがよくあります。これは新しい永久歯が歯茎から押し出されてくるためです。この時期、特に注意すべきは、乳歯と永久歯が同時に存在するために歯磨きがしにくくなり、磨き残しが増えて歯垢がたまってしまうことです。歯垢がたまると、歯肉炎が発生しやすくなるため、丁寧な歯磨きと定期的な健診が必要になります。
生え代わり期に歯肉炎が起こりやすい理由とは?
乳歯から永久歯への生え代わり期は、子どもにとって大きな変化の時期です。この時期、特に6歳から12歳の間に、歯肉炎が起こりやすくなることがあります。その理由は、乳歯と永久歯が同時に口腔内に存在するため、歯並びが乱れやすく、食べ物や歯垢がたまりやすくなるからです。
歯垢は細菌の塊で、歯茎に炎症を引き起こします。さらに成長期の子供は歯茎が敏感で、わずかな刺激で炎症を起こすことがあります。特に新しく永久歯が生えてくる時には、永久歯が歯茎を破って出てくるため、歯茎が腫れやすく、ブラッシングが十分にできていないことも多いです。このような状況が重なって、歯肉炎が発生しやすくなります。
生え代わり期に見られる歯肉炎の症状
生え代わり期に見られる歯肉炎の症状は、一般的な歯肉炎と似ています。
- 歯茎の腫れ
- 歯茎からの出血(特に歯磨き中)
- 歯茎が赤くなる
- 痛みや違和感がある
- 口臭が気になることがある
生え代わり期に見られる歯肉炎の症状は、特に乳歯が抜け始める6歳頃から12歳頃にかけて多く見られます。この時期に発生する歯肉炎は、子どもの歯や歯茎に影響を与えやすい特徴があります。以下に、具体的な症状についてさらに詳しく解説します。
1. 歯茎の腫れ
生え代わり期に新しい永久歯が生える際、歯茎が腫れることがあります。これは、歯が歯茎の下から押し出されてくる際に、周囲の組織に負担がかかるためです。特に、まだ抜けていない乳歯と新しい永久歯が同じエリアに存在する場合、歯垢が溜まりやすく、歯茎が炎症を起こしてしまいます。歯茎が赤く腫れている場合、歯肉炎が進行している可能性があります。
2. 歯磨き時の出血
歯肉炎が発生している場合、歯磨きをすると歯茎から血が出ることがあります。これは、歯茎が炎症を起こし、血管が拡張しているためです。歯磨きを避けることで歯垢がさらに溜まり、症状が悪化することがあるため、出血が見られた場合でも優しく歯磨きを続けることが大切です。
3. 歯茎の赤み
健康な歯茎はピンク色をしていますが、歯肉炎が発生すると歯茎が赤くなります。この赤みは、炎症によって血流が増加していることを示しており、放置すると症状が悪化することが考えられます。特に新しい歯が生える場所周辺の歯茎は、赤みがかかりやすいため、注意が必要です。
4. 歯茎の痛みや違和感
歯肉炎が進行すると、歯茎に痛みや違和感が生じます。特に食事や歯磨きの際に痛みを感じることがあり、子どもが食べ物を避けたり、歯磨きを嫌がることがあります。これにより、さらに歯垢が溜まり、悪循環に陥る可能性があります。
5. 口臭の発生
歯垢や細菌が溜まると、口臭が発生することがあります。特に歯肉炎が進行している場合、歯茎の炎症により細菌が増殖しやすくなり、口臭が強くなる傾向があります。子ども自身が気づかないことも多いですが、保護者が口臭に気づいた場合は、歯肉炎のサインとして注意する必要があります。
生え代わり期にこれらの症状が見られた場合、早めのケアが必要です。特に、歯茎の腫れや出血、口臭などは放置すると症状が悪化する恐れがあるため、歯磨きやフロスによるケアをしっかり行い、定期的な健診を受けることが推奨されます。
生え代わり期の歯肉炎を予防する方法
生え代わり期に歯肉炎を予防するためには、以下の点に注意しましょう。
歯磨きの習慣をつける
子供に毎日の正しい歯磨き習慣を身につけさせることが大切です。特に、歯の隙間や新しい永久歯の周りを丁寧に磨くことで歯垢がたまるのを防ぎます。
フロスを使用する
歯ブラシだけでは取り切れない歯間の汚れを取り除くために、フロスを使用しましょう。これにより、歯と歯の間に溜まる歯垢も除去できます。
食事の後に口をすすぐ
食事の後に水で口をすすぐことで、食べ物のカスや歯垢の蓄積を減らすことができます。ごく簡単な習慣ですが、歯肉炎予防には効果的なので、ぜひ取り入れてください。
歯磨きの正しい方法
正しい歯磨き方法を知ることが、歯肉炎の予防には不可欠です。
優しくブラッシングする
生え変わりの時期は歯茎が敏感になっているため、強い力で磨くと逆に歯茎を傷つけてしまいます。やさしく、細かい動きで歯を磨くようにしましょう。
歯茎の際までしっかり磨く
歯の面だけを磨いても、歯垢が残ったままになります。歯垢がたまりやすいのは歯と歯茎の境目で、ここを丁寧に磨くことが大切です。
フッ素配合の歯磨き粉を使用する
フッ素は歯を強くし、虫歯予防に効果的です。子どもの歯磨きには、フッ素配合の歯磨き粉を選びましょう。
健診の大切さとメリット
初期の歯肉炎は痛みや腫れなどのはっきりとした症状がないのでなかなか気づけません。歯科健診では歯肉炎の症状を早期に発見することが出来ます。定期的な歯科健診を受けることは、歯肉炎の予防や早期治療に役立ちます。健診では、歯垢や歯石の除去が行われるほか、歯磨き指導も受けることができるため、家庭でのケアがしやすくなります。
歯科健診の主なメリットは以下の通りです。
早期発見で重症化を防ぐ
歯肉炎が軽度のうちに発見できれば、簡単なケアで改善できる場合が多いです。
正しいケア方法を学べる
歯科医師や歯科衛生士から正しい歯磨きの方法やフロスの使い方を学ぶことで、予防がしやすくなります。
磨き残しやすい場所がわかる
磨き残しが起こりやすい場所は、大抵歯と歯の間、歯と歯茎の間です。健診で磨き残しを指摘してもらうことで、その部分を気を付けて磨くようになります。
歯肉炎が重症化した場合の対処法
もし歯肉炎が進行してしまった場合、次のような治療が必要になることがあります。
歯垢や歯石の除去
歯科医院でのクリーニングによって、歯垢や歯石をしっかりと取り除くことができます。自宅でのケアでは取り切れない部分もクリーニングしてもらえます。
抗生物質の処方
歯肉炎が細菌感染によって悪化している場合、抗生物質が処方されることがあります。
正しい方法での歯磨きの継続
治療を受けた後も、正しい方法で歯磨きを続けることが大切です。炎症が改善されても、生え変わり期が終わるまでの間は、歯茎の炎症が再発することがあります。それ防ぐために、毎日のケアを怠らないようにしましょう。
まとめ
乳歯から永久歯への生え代わり期は、歯肉炎が特に起こりやすい時期であることはあまり知られていません。正しい歯磨きやフロスの習慣を身につけ、定期的に歯科健診を受けることで、歯肉炎を予防し、子どもの歯と歯茎を健康に保つことができます。
もし歯肉炎の症状が現れても、早期の対応によって症状を改善させることが可能です。健康な永久歯を守るために、子供の口腔ケアを積極的に行いましょう。