歯と口の基礎知識

歯の構造と役割について

歯の構造と役割について

歯は私たちの健康と密接に関わっています。今日は歯の構造など、歯の基礎知識についてご説明します。

歯の本数と種類と役割は?

大人の歯

女性

大人の歯は上顎に14本、下顎に14本の合計28本です。
親知らずが上下左右に生えると、合計32本になります。

大人の歯の種類と役割

歯は前歯と奥歯とに分けられ、それぞれ特徴的な形と役割があります。

前歯の種類と機能

前歯は食べ物を切り裂くのに適しています。

1. 切歯(中切歯・側切歯)

切歯は上下にそれぞれ8本ずつあり、他人からの見た目に影響を与える歯です。食事でものを噛み切ったり、発音、特に「サ行」の発音に不可欠です。

2. 犬歯

犬歯は上下に2本ずつあり、鋭い牙のような形状をしています。犬歯はものを噛み切るという重要な役割を持ち、歯の根が他の歯よりも長いのが特徴です。

顎が小さいために歯が並びきらず、犬歯が歯列から外に飛び出して生えてしまう不正咬合を「八重歯」と呼びます。

奥歯の種類と機能

奥歯には食べ物を小さく擦りつぶして飲み込みやすくするという役割があります。

1. 小臼歯

小臼歯は犬歯の後方に位置する2本の歯で、乳歯から永久歯へと生え変わる際に現れます。第二小臼歯が先天的に生えてこない人もいて、その場合は乳歯がそのまま抜けずに残ることもあります。

2. 大臼歯

大臼歯は口の一番奥に位置する歯で、食べ物をすりつぶすための大きく強い歯です。通常、第1大臼歯は「6歳臼歯」、第2大臼歯は「12歳臼歯」と呼ばれます。親知らずがある場合は第3大臼歯まであります。

奥歯は虫歯になりやすく、虫歯や歯周病で失われると噛む力が大きく低下し、他の歯にも影響を及ぼすことがあります。

各歯には以上のような特有の形状と役割があり、全身の健康維持に重要な役割を果たしています。

子供の歯(乳歯)

乳歯について

乳歯(子供の歯)には以下のような特徴があります。

1. 本数と生える時期

乳歯は通常20本あり、生後6ヶ月頃から生え始め、約3歳までに全て生え揃います。

2. サイズと形

乳歯は大人の歯と比べると小さく、一般に丸みを帯びた形をしています。また、色がやや白くて透明感があります。

子供

3. 乳歯の構造

乳歯はエナメル質(歯の表面を覆う硬い層)が薄く、象牙質(エナメル質の下の層)が柔らかいため、虫歯になりやすく、虫歯が進行するスピードも速いので注意が必要です。

4. 乳歯の役割

乳歯は子供の顎の発育や噛み合わせに関係し、発音の練習、そして永久歯が生えるためのスペースを確保する役割を担っています。乳歯が早期に失われた場合、永久歯の生え方に影響を及ぼし、正しい位置に生えることが出来ない可能性があります。

5. 生え変わりの時期

乳歯は6歳頃から永久歯に置き換わり始め、大体12歳頃までに全ての乳歯が永久歯に交換されます。しかし生え変わりには個人差が大きく身体の発育状態によって時期が変わります。

6才臼歯
歯の番号と名前 上あご 下あご
1番 中切歯 7~8才 6~7才
2番 側切歯 8~9才 7~8才
3番 犬歯 11~12才 9~10才
4番 第一小臼歯 10~11才 10~12才
5番 第二小臼歯 10~12才 11~12才
6番 第一大臼歯 6~7才 6~7才
7番 第二大臼歯 12~13才 11~13才
8番 第三大臼歯(親知らず) 17~21才 生えない方もおられます

乳歯のケアは、子供の口腔衛生と全身の健康維持にとって非常に重要です。正しい歯磨き方法と定期的な歯科検診は、乳歯の健康を守るために必要です。

歯の内部構造

天然歯の構造

歯の内部はどのようになっているのかご説明します。

1. エナメル質

最も硬い組織で、歯の外側を保護しています。

2. 象牙質

エナメル質の下にあり、歯髄を取り囲む組織です。むし歯による損傷が進行しやすい部分です。

3. セメント質

象牙質を覆い、歯とあごの骨を結びつける役割を果たしています。

4. 歯髄

神経や血管が集まる部分で、歯の栄養供給を担います。

5. 歯槽骨

歯を支えるあごの骨で、歯ぐきの炎症により損傷を受けることがあります。

6. 歯根膜

歯と歯槽骨をつなぐ薄い膜です。

7. 歯ぐき

歯槽骨を保護し、歯を支えます。

A. 歯冠部

歯ぐきの上に見える部分です。

B. 歯根部

歯ぐきの下に隠れている部分です。

歯の構造と役割に関するQ&A

大人の歯の本数と種類について教えてください。

大人の歯は通常、上顎14本、下顎14本の合計28本から構成されます。親知らずが全て生えている場合、合計は32本になります。これらは前歯(切歯と犬歯)と奥歯(小臼歯と大臼歯)の2つの主要なグループに分けられ、それぞれ異なる役割を担っています。前歯は食べ物を切り裂くのに適しており、奥歯は食べ物を細かくすりつぶす役割を持っています。

子供の歯(乳歯)は大人の歯とどう違いますか?

子供の歯、すなわち乳歯は、上顎に10本、下顎に10本の合計20本です。乳歯は大人の歯に比べて小さく、柔らかめで、虫歯になると進行が速いという特徴があります。これらの歯は、後に永久歯に置き換わりますが、乳歯の健康は子供の発育と全身の健康に重要な役割を果たします。

歯の内部構造にはどのようなものがありますか?

歯の内部構造には以下の要素があります。
1) エナメル質:歯の最も外側にある最も硬い組織で、歯を保護します。
2) 象牙質:エナメル質の下にあり、歯髄を取り囲んでいます。
3) セメント質:象牙質を覆い、歯と顎の骨を結びつける役割を果たします。
4) 歯髄:神経や血管が集まる部分で、歯の栄養供給を担います。
5) 歯槽骨:歯を支える顎の骨です。
6) 歯根膜:歯と歯槽骨をつなぐ薄い膜。
7) 歯ぐき:歯槽骨を保護し、歯を支える役割を果たします。

まとめ

歯の基本構造とその重要性についてご紹介しました。日々のケアに活かすことで、健康な歯を長持ちさせることが出来、歯の健康は全身の健康維持にも繋がります。

歯の構造と役割に関する研究結果を紹介します。

1. 【Kamakura (2015)】によると、歯は咀嚼と発音の機能に関与する構造であり、エナメル質、象牙質-歯髄複合体、そして歯を支持する構造に分類されます。エナメル質は歯冠を覆い、体内で最も高度にミネラル化された物質です。象牙質は歯の最も大きなミネラル化組織であり、歯髄に囲まれています。歯髄には血管、リンパ管、神経要素が含まれています。

2. 【Zhai et al. (2018)】の研究では、歯の組織再生における歯科幹細胞の役割が詳述されています。歯はエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄、歯周組織で構成されており、複雑な調節機構、特殊な組織起源、多様な構造、および咀嚼、発音、美容における重要な機能を持っています。これらの特徴は、歯の再生研究を複雑にします。

これらの研究によれば、歯は複数の硬組織と軟組織から成り立ち、咀嚼や発音などの重要な機能を担っています。また、歯の再生には幹細胞が重要な役割を果たしています。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科豊中駅前アネックス・矯正歯科
院長 中西 洋介

2015年 昭和大学 歯学部卒業。日本口腔外科学会。日本有病者歯科医療学会。日本口腔内科学会。

▶プロフィールを見る

クローバー歯科豊中駅前アネックス