虫歯を自然治癒できるならばそうしたいと思うでしょう。虫歯は本当に自然治癒できるのか、放置してはいけないむし歯の特徴について詳しくご紹介いたします。
虫歯は歯医者へ行くべき?
- 黒や茶色に変色している
- 穴が開いている
- 痛みがある
- 歯肉から膿が出ている
- 口臭がある
このような自覚症状を伴うむし歯は、なるべく早く歯科医院へ通院し治療する必要があります。むし歯は口腔内で起きた細菌感染です。放っておくと虫歯菌はどんどん歯の内部へ進行し、エナメル質→象牙質→神経(歯髄)を腐らせてしまいます。更に放置すれば歯が抜けて義歯治療が必要となり、歯が抜けたスペースに隣の歯が倒れてくれば噛み合わせも悪くなります。
自然治癒で治るむし歯ある?
上記のことからもわかるように、自然治癒できる虫歯は限られています。虫歯の症状や経過については5段階ありますが、自然治癒できる虫歯は初期むし歯と一般的に呼ばれるC0の段階のみです。歯磨きとフッ素の塗布で自然治癒するケースがあります。
- 食べ物を食べた後のお口は食べかすが歯に付着し、口腔内は中性ではなく酸性に傾く
- 歯垢を巣にした細菌が食べかすを餌に酸を排出して歯の表面に付着させる
- 人体の中で最も硬い組織であるエナメル質も酸には溶けてしまう状態となり脱灰します
これが初期むし歯でいわゆるCOと呼ばれる状態です。虫歯菌による脱灰を起こした後に、歯を元の状態に戻せることを再石灰化と言います。自然治癒と言える再石灰化を行えるのは初期むし歯のみですが、自然治癒を可能にするためには口腔内の状態を下記のように保たなければなりません。
- 食後に必ず歯磨きを行い、歯垢や食べかすを除去する
- おやつを食べた時も同様に歯磨きをする
- 自浄作用の高い唾液を多く分泌するためアルコールの摂取を控える
放置してはいけないむし歯とは
放置してはいけないむし歯とは、CO以外のむし歯です。
- C0(Caries Observation・シーオー)歯の表面のエナメル質が少し白濁しているが穴は開いていない状態
- C1(シーワン)歯のエナメル質に小さな穴が開き、食べ物の詰まりや舌が触れると違和感があるが、痛みはない状態
- C2(シーツ―)エナメル質内部の象牙質にまで穴が開き、食べ物の温度や甘い物が歯に染みて自覚症状がある状態
- C3(シースリー)歯髄の神経や血管に達しているため、痛みや不快感を強く感じやすく、腫れや膿が出る状態
- C4(シーフォー)神経が死んでいるため痛みを感じず、歯もうまく噛めず機能していない状態
C4になると、歯根のみ残して抜歯をする可能性が高まります。
C1はコンポジットレジン(CR・歯科用樹脂)や小さな詰め物(インレー)で治療が可能ですが、C2の虫歯部分の範囲によっては詰め物ではなく被せ物(クラウン)をおすすめする場合があります。C3の状態ならば根管治療をする必要があり、神経を除去してきれいに清掃し薬剤を充填する治療となります。C4は抜歯を行った後、義歯治療(インプラント・ブリッジ・入れ歯)を行わなければ、残存歯の健康が保てなくなります。
まとめ
本当に初期段階のむし歯を除き、自然治癒はないと考えておくべきです。また、初期むし歯の状態ならば改善も可能ですので、歯科医院へ定期検診に行くことをおすすめします。定期通院で虫歯や歯周病の原因と言える歯石の除去及びクリーニングを行ってもらう際に、歯科衛生士が気づくことが多いです。予防歯科という観点からも、定期的に歯科医院へ通院することは歯の健康にはとても大切です。