子供の口呼吸はやめさせるべきという話を聞いたことはありませんか。子どもの口呼吸を続けるとどんなことが起きるか、口呼吸を鼻呼吸にすればどう良くなるかについてご説明します。
口呼吸をしていませんか?
口呼吸は口で息を吸って気管へ入れるため、歯や歯茎などの歯周組織、唇などがひび割れたり、常に乾いた状態になります。そのため、唾液が分泌されてもすぐに乾燥し、唾液の抗菌作用や洗浄作用が働かず、口内が細菌の繁殖しやすい環境になります。下記のいずれかに当てはまる子供は、口呼吸の可能性が高いです。
口呼吸の影響とは?
1. 顔の発育と歯の位置の変化
口を開けたままの呼吸は、顔の形成や歯の位置に影響を与える可能性があります。これは、口を閉じて鼻で呼吸する場合と比べて、口の周りの筋肉の使い方が変わることに関連しています。
2. 睡眠の品質への影響
口呼吸は、睡眠時の呼吸にも影響を与える可能性があります。口呼吸は睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの問題を引き起こす可能性があります。
3. 口腔乾燥
口呼吸により、口の中が乾燥しやすくなります。これは、口腔内の細菌の増殖を促し、口臭や歯周病などの口の健康問題を引き起こす可能性があります。
4. 学習と集中力への影響
口呼吸が繰り返し起こると、酸素供給が不十分になる可能性があります。これは、学習や集中力に影響を与える可能性があります。
子供のお口ポカンを放置するとダメな理由
無意識下でお口を開けたままの状態を、お口ポカンやポカン口と言います。専門的には口唇閉鎖不全と呼ばれる状態です。お口ポカンによる口腔内の乾燥が原因で起こるお口のトラブルは下記の通りです。
1.虫歯・歯周病・口臭が起こる
唾液は歯に付着した汚れや歯垢(プラーク)を洗い流します。唾液が少なく乾燥してしまうと、お口の中に細菌が繁殖しやすい乾燥状態になります。虫歯の場合は、エナメル質から象牙質、神経(歯髄)、歯の根(歯根)まで進行すると、歯根に膿の袋(嚢胞)ができ、歯は抜けてしまいます。歯周病の場合は、歯茎に炎症や腫れを起こさせ、重度になれば膿や口臭が出て、歯は不安定になり、歯槽骨が溶けた状態になります。
2.不正咬合になりやすい
鼻呼吸できる綺麗な歯並びの方は、上顎の部分に舌の先端が触れて、お口元や舌の筋肉もきちんと発達しています。ただ、お口を開けたままの状態の方は、舌の位置が下顎になり、お口周りや舌の筋肉のバランスが悪くなります。上顎に舌の先端が触れないため、上顎が狭くなるため、歯並びが悪くなるケースが多いのです。出っ歯(上顎前突)・お口が閉じられない(開咬)・受け口(下顎前突・反対咬合)・歯のガタガタや八重歯(叢生)になってしまい、歯列矯正が必要となります。
3.風邪などの病気にかかりやすい
ウィルスや細菌などを空気と一緒に吸い込んでも、鼻呼吸の場合は鼻で止めることが可能です。ただ、口呼吸の場合は、直接気管へ吸い込んでしまうため、扁桃炎やインフルエンザなどの感染による病気にかかりやすくなります。
4.顔立ちが変化することがある
口呼吸でしか呼吸を行えない子供は、アデノイド顔貌になる傾向があります。アデノイド顔貌とは、口元が前方に突出していて、下顎が後退して、顎と首の境目がわかりにくいというのが特徴です。アデノイドは喉と鼻のさらに奥にある組織で、扁桃腺は左右にありますが、アデノイドは上方奥にあるとお考えください。アデノイドが肥大し呼吸がしづらいため口呼吸になったり、口呼吸によりアデノイドは大きくないのに日常の習慣により、アデノイド顔貌のようになることがあります。
子供の口呼吸の改善方法
子供の口呼吸には健康上の問題を引き起こすリスクがあります。日常的に口呼吸を行っている子供は早めに歯科へ通院しましょう。
できれば、小児歯科や小児矯正を行っている歯科医院を受診することをおすすめします。ポカン口は悪習癖の一部で、専門的なトレーニング(MFT)を受けることで改善します。
他によく挙げられる悪習癖には、頬杖・指しゃぶり・うつぶせ寝・爪を噛む・舌で前歯を押す・舌を歯と歯の間から出す・片側噛みなどがあります。
MFTとは
口腔筋や唇、舌や喉などを正常な位置に戻し、正しく噛むための訓練のことをMFT(口腔筋機能療法)といいます。MFTを行えば口呼吸が鼻呼吸に変わり、より咀嚼がしやすい状態に変化します。
- スポットポジション / 舌の先を置く位置を覚える
- ポッピング / 舌を上へ持ち上げる力をつける
- スラ―プスワロー / 舌を上げてストローを噛んで正しい飲み込み方を覚える
- ポスチャー / 舌先をスポットに置き、唇を閉じたままストローを噛む
このような舌の体操を行うと共に、あいうべ体操と呼ばれるお口の周りの筋肉の簡単なトレーニングを行うと効果があります。
子供の口呼吸はやめさせるべきに関するQ&A
口呼吸を続けていると口腔内が乾燥しやすく、歯や歯肉、唇がひび割れたり乾燥した状態になることが挙げられます。口の中が乾燥すると自浄作用のある唾液が不足し、細菌の繁殖を招く可能性が高くなります。口呼吸の子供は虫歯や歯周病、口臭にかかりやすくなることもあります。
口呼吸が引き起こす可能性のある健康問題として、虫歯や歯周病、口臭が挙げられます。口腔内の乾燥により細菌が繁殖しやすくなり、これらの症状が発生する可能性が高くなります。また、口呼吸によって不正咬合(歯並びの問題)が進行する場合もあります。
口呼吸の改善方法として口腔筋機能療法(MFT)が挙げられます。MFTでは口腔筋や唇、舌、喉を正常な位置に戻し、鼻呼吸や咀嚼を促進するトレーニングを行います。具体的な方法として、舌の先を置く位置を覚えるスポットポジションや舌を上へ持ち上げる力をつけるポッピング、舌を上げてストローを噛んで飲み込み方を覚えるスラープスワローなどがあります。
まとめ
健康上リスクが多い口呼吸は子供に良いことがありません。子供の口呼吸が気になる場合は、定期的にフッ素塗布や検診を受けている歯医者さんへ一度お気軽にご相談ください。歯科矯正であごの発達をコントロールしつつ、自宅でもMFTの訓練を継続すれば、鼻呼吸をしやすい状態に改善する可能性があります。